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主な結論
クリニックスタッフ(医療従事者)に対するCOVID-19ワクチン接種は、感染予防・症状発現予防・重症化予防のいずれにおいても高い有効性を示し、特に重症化予防効果は96%を超える。ワクチン種別による差は、mRNAワクチンがアデノウイルスベクターや不活化ワクチンに比べて中和抗体誘導力および実効性(efficacy)で優れる傾向がある。

1. 医療従事者への接種メリット

2024年以降にPubMed掲載の査読付き研究を基にしたメタ解析では、医療従事者(HCWs)における2回接種後のワクチン有効性(Vaccine Effectiveness: VE)は以下の通りであった。[1]

予防対象

VE(%)

95%信頼区間

全感染(無症状含む)

84.7

72.6–91.5

症候性感染

86.0

67.2–94.0

入院を要する感染(重症化予防)

96.1

90.4–98.4

 

·         無症候性も含む感染予防効果が約85%。[1]

·         症状を伴う感染予防効果は約86%。[1]

·         入院・重症化予防効果は約96%と極めて高い。[1]

·         これまでに接種後の医療従事者死亡例は報告されていない。

2. ブースター接種の効果持続と変異株への対応

オミクロン株(特にBA.1系)およびデルタ株を対象としたブースター(3回目以降)では、時間経過とともに効果が低下するものの、高いピーク効果を示す。[2]

·         オミクロンに対する症候性感染予防 ピーク67.3%→25週後27.1%

·         デルタに対する入院予防 ピーク96.0%→20週後93.3%

·         オミクロンに対する入院予防 ピーク90.8%→25週後73.4%[2]

3. ワクチン種別による効果差

3.1 mRNA vs アデノウイルスベクター

ベトナムで行われた第3相ランダム化比較試験では、自己増幅型mRNAワクチン(ARCT-154)とChAdOx1-S(アデノウイルスベクター)を比較し、以下のように中和抗体持続および臨床的有効性でmRNAが優位であった。[3]

·         ARCT-154対ChAdOx1-Sの相対有効性:19.8%(95%CI 4.0–33.0)[3]

·         1年後まで中和抗体レベルの増加が持続

また、4回目接種(2回プライマリ+1回ブースター+1回セカンドブースター)では、mRNA(BNT162b2)4回目群とアデノウイルス(ChAdOx1-SまたはAd26.COV2.S)4回目群を比較し、接種後直後の重症化(入院・死亡)リスクを19%低減(HR 0.81, 95%CI 0.75–0.87)したが、120日後には差がみられなかった。[4]

3.2 不活化ワクチン+mRNA混合スケジュール

コロナVac不活化2回+mRNA(BNT162b2)1回のスケジュールは、コロナVacのみ4回接種スケジュールに比べて相対的有効性が61.8%(95%CI 51.5–69.9)であり、mRNAブースター接種の有用性が示された。[5]

4. 実践的示唆

·         医療現場のスタッフは高リスク集団であり、2回接種後でも症候性感染予防約86%、重症化予防約96%のメリットがある。

·         3回目・4回目のブースター接種によりさらなる保護が得られるが、時間経過とともに効果は徐々に低下するため、半年ごとの追加接種が推奨される。

·         mRNAワクチンはアデノウイルスベクターや不活化ワクチンに比べて中和抗体誘導力や臨床的有効性で優れ、特に重症化予防効果が高い。

これらのデータを踏まえ、クリニックスタッフへの定期的なブースター接種を含むワクチン接種プログラムの継続的実施が強く推奨される。

[1]
[2]
[3]
[4]
[5]

1.       https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39221179/

2.      https://www.nature.com/articles/s41541-024-01017-5

3.      https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39431651/

4.      https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39005704/

5.       https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39580505/

 

 

2025/8/7 Perplexityを使用してリサーチした。